武蔵野銀行は、埼玉県内を拠点に地域密着型の金融サービスを提供する地方銀行です。「お客様の課題解決を通じた地域社会の発展」を使命とし、個人や法人顧客を対象に多様な金融ソリューションを提供しています。近年では、預金や貸出中心の従来の業務から、コンサルティングや課題解決型の業務へと進化し、変化する社会ニーズに対応しています。一方で、採用活動では地元志向の人材が中心となっており、県外の優秀な学生や他業種志望者へのアプローチが課題となっていました。
これまで武蔵野銀行は、埼玉県内の学生を主な採用のターゲットとしていました。2020
年頃から採用の母集団が減少してきたものの、採用広報の拡充により、一定数の年間エントリー数の向上には成功しました。ただ、変化する社会ニーズの中で、従来の金融機関としての業務だけでなく、お客様の課題解決を行うコンサルティング業務も拡充していました。そして、それを担う人材を確保するためには、「埼玉県内で金融機関を志望する学生」というこれまでのターゲットだけでなく、メガバンクやコンサルティング
ファーム、総合商社などを志望する学生を呼び込む必要がありました。
そうした状況を改善するために、まず行ったのが採用サイトの刷新です。「採用したい学生の思考に沿ったよいサイトができたのですが、ローンチ後に分析を進めた結果、サイトの閲覧数が少ないということがわかりました」と、当行の人事部
キャリア開発室の柿島様は当時を振り返ります。さらにこのとき、県内で金融機関を志望する学生数と武蔵野銀行のエントリー者数は、ほぼ同数であり、埼玉県内で金融機関を志望する学生へのアプローチだけでは同行が目指す採用の母集団形成に対して不十分ということがわかりました。
このような背景から、地域や業界を超えて新たなターゲット層へのアプローチの必要性が明確になり、柿島様を中心とした採用チームは SNS 広告の活用を決定。しかし、SNS 広告では情報は拡散するものの、求めるターゲットに届いているかどうかが不透明だったといいます。そうした中で出会ったのが、Google 広告でした。
他のデジタル 広告と比較して、柿島様が Google 広告に期待していたのは「狙ったターゲットに届く」という特徴です。Google マップを活用した地域ターゲティング、そして検索ブラウザのキーワードによるターゲティングなど、広告をあてたい層を見極めて配信ができる Google 広告こそ、当行が抱えていた課題にマッチしていたといいます。早速、Google 広告の専任のサポート担当からの提案を受けて、動画広告、デマンド ジェネレーション キャンペーンを組み合わせ、埼玉県外であることに加え、メガバンクやコンサルティング
ファーム、総合商社などを就職先に検討している学生をターゲットにして多面的なアプローチを展開しました。特に予算をかけたのが動画広告です。学生層が YouTube を利用する頻度が高い点に着目し、既存のテレビ CM を短尺化した動画広告を展開しました。また、県外での知名度の低さを改善するため、検索で上位に表示されることを期待して、検索広告(リスティング広告)も開始。さらに、閲覧履歴や興味関心データを活用した広告の運用も行い、より的確なターゲットへのリーチを実現しました。
当初は、広告の設定や運用面での懸念もありましたが、専任のサポート担当の支えもあり、スムーズに広告設計を進めていけたといいます。柿島様は「こちらが手を動かさずともすべてを設定してくださり、打ち合わせを踏まえた上でメンテナンスも行ってくれるのは非常にありがたかったです」と話します。
2024 年 5 月、GW 明けから Google 広告を導入した後、翌日には既に結果が出始めていたといいます。採用ページへの流入数は前年比最大
4,500%、平均 1,900% 増加。これによりエントリー数も 35% 増加し、地域や業界を超えた新たなターゲット層からの応募が拡大しました。そして期待以上だったのは、 GA4 を用いて、随時結果を見られることでした。柿島様は「ターゲットを絞っているため、競合の情報収集などによる閲覧ではなく、自分たちのターゲット層が見てくれていることが明確にわかり、安心感がありました」と使い勝手のよさを語ります。また、25
年卒のエントリー数だけでなく、26
年卒向けのインターンも情報公開の当日には満席になり、参加者の質も例年に比べて向上し、次年度の採用という長期的な成果にもつながりました。
さらに、柿島様は「Google の AI
から的確な予算提案をもらえることも嬉しいですね。どれくらいのの効果があるかというシミュレーションには納得感があり、KPI
のためにはどれくらい予算を使えばよいかがわかりやすいです」とも話します。
Google 広告の AI は、機械学習を活用して広告配信を自動最適化する技術。専門的な知識がなくても、簡単な設定でターゲット選定や入札調整ができ、効果的な広告運用が可能になります。
そして、広告配信後に Google のブランド リフト調査を行った結果、認知度が増加、動画広告によって当行の認知が高まる効果も生まれました。こうした採用領域以外での広告効果は、今後の採用活動の予算取得にも一役買っています。
武蔵野銀行は、Google 広告を活用した採用活動で大きな成果を上げましたが、柿島様は「今後は、サイト閲覧者からエントリーへの転換率をより向上させていきたいですね。そのためには、クリエイティブの力が必要だと考えています。今回は既存の
CM 素材を活用しましたが、今は Google 広告用に新しい動画を作っています」と話します。
また、柿島様は中長期的な視点から、Google
広告で社会的な認知度が高まることで、インナー
ブランディングにもつなげていきたい考えです。採用活動を通じて、母集団形成とマッチング率の向上に取り組むと同時に、当行で働く人々の誇りにもつなげたいとのことです。
最後に、柿島様は「Google と聞くと、世界のトップ企業という印象で、遠い存在のように思っていましたが、実際に関わってみると、私たちに寄り添い支えてくれる非常に身近な存在でした。私たちの理想は、予算の無駄を減らしながら、アプローチしたい人にメッセージをより的確に届けられることです。Google
広告なら、そんな未来が実現できると期待しています」と語ってくれました。